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日本とアメリカのSaaS活用状況を調べて考察したnote

今回は、日本とアメリカの企業がSaaSをどのくらい活用しているのか。
その状況について調べてたので、内容をまとめ、考察をしていこうと思います。

突然ですが、
みなさんが日頃仕事で使うSaaSの数ってすぐに分かりますか?
それが会社全体だと幾つあるか分かりますか?

これは、後ほど答え合わせをしますので、少し考えておいていただけると幸いです。

では、ここから本題です。

世界と日本のパブリッククラウド市場の比較

まず、SaaS単体ではなくパブリッククラウドの世界市場を調べてみました。

2019年の世界のパブリッククラウド市場=184Bドル
≒20兆円(1ドル=105円)
2019年の日本のパブリッククラウド市場=9.4Bドル
≒9,870億円(1ドル=105円)

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流石に世界と比較すると日本が見えなくなってしまうので、日本だけのものも作っています。
日本は世界市場の1/20くらいだと理解いただければ良いと思います。

ここで僕が着目したのは、パブリッククラウドにおける、SaaSの比率です。
実は、日本を世界と比較したとき、大きな差が無いとも言えます。

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しかし、Gartner社からショッキングなデータも出ております。

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日本はパブリッククラウド抵抗国と位置づけられ、最先進国であるアメリカから7年も遅れているというデータが出ております。

2022年には、アメリカのIT支出における14%がクラウドになる。
日本は4.4%に留まる。
日本は文化や法規制の障害によって、組織がクラウドを使いにくい状況になっている。

と、Gartner言及しております。

なので、現時点でパブリッククラウドにおけるSaaSの比率を考える以前に、そもそもパブリッククラウド使ってないじゃん・・・
と僕は考えています。

日本はアメリカから7年以上も遅れているという前提の上、
SaaSに絞ったらどのくらい違うのか・・・
ということを書いていこうと思います。

完全に余談ではありますが、
日本のSaaS市場は5000億円強
Salesforceの日本法人の売上が1000億円弱
と考えると、日本のSaaSのマーケットにおけるSalesforceの売上比率ってとんでもないですよね・・・

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使っているSaaSの数

まずは、いくつSaaS使ってるんだろう・・・というシンプルなところからスタートしていこうと思います。

冒頭にお伺いした部分の答えです。

僕もこの答えを初めて知った時、かなりの衝撃を受けました。
準備はよろしいでしょうか・・・?

では・・・

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アメリカは企業規模を問わず100以上のSaaSを活用し、
企業規模が大きくなるにつれ、利用するSaaSが増えている。
日本は企業規模ごとにSaaSの利用数が減る傾向があるが、概ねどの企業規模でも10程度に留まる。

という結果になっています。

この結果、衝撃的ではないですか?

また、少し違った切り口でのデータもあります。
従業員数ではなく、創業年数で利用SaaSの数を出しています。

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Source:Better Cloud 2020 State of SaaSOps

このデータを僕は、
創業間もない会社はまず身近なSaaSを利用し、
急拡大のフェーズで更に大量のSaaSを使い始める。
その後、IPOを含めた内部統制の強化が必要なタイミングで統合を行っている。(若しくは、内製化したほうがコストダウンになるタイミング)

と考えています。

また、若干変わった切り口のデータもあります。

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先程よりはSaaSの数は減っていますが、
自社で独自に構築した社内向けSaaSの存在に言及をしています。

このデータにおいても、足すと100を超えてますね。

どのくらいのスピードでSaaSが増えているのか・・・

このあたりから、日本のデータはほとんど存在しないので、アメリカのデータの話になります。

アメリカも今では100を超えるSaaSを使っていますが、どのタイミングから増えたのか・・・
というデータをご紹介します。

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2015年から10倍の数に!
2017年から5倍に!!

というデータがあります。

また、数ではなく金額算出したデータもありました。

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従業員100名もしくは101人〜1000人までの企業においては、
4年で約8倍に増加!というデータになっています。

先程のデータは、2015年から2020年までで10倍、
こちらのデータは2015年から2019年までで約8倍
というデータですので、双方のデータにおいて同じくらいの増加データだと考えても良いのではないでしょうか。

ここで、日本に立ち戻ると、
2019年のデータで約10のSaaSを使っている状態です。

Gartnerによると、日本とアメリカのパブリッククラウドの利用は7年以上の差があるとされていますが、SaaSに限った話で行くと、
僕は5年くらいなのでは?と考えています。

すると、あと2年くらいで様々な企業のSaaS利用が爆発的に増えるという考え方もできますよね。

誰がSaaSを導入しているか

では、SaaSの導入を推進する部署はどこか・・・となりますが、
アメリカの例を参考にすると、どうやらIT部門ではなさそうです。

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Source:BLISSFULLY SaaS Trends 2020


想像以上にIT部門による投資が少ないですが、2018年くらいから増えていますね。
2010年頃はSales部門やProduct部門の投資が多かったものの、現在は現状傾向で、今はHRやFinance,Customer Supportの投資が右肩上がりに見えますね。
そして、2017年くらいからIT部門の投資がまた増加傾向にあります。

ここからは私の考察で、その理由としては、
2010年ごろから、CRMなどの営業部門、そしてプロダクトの開発に投資をしていたが、現在は一旦落ち着き、
HRやFinanceの內部の強化、そしてCRMの次のステップとして、Customer Supportが増えたと考えています。

さらに、IT部門による投資が増えた理由としては、ここまでいろんなSaaSが増えたら、そろそろ統制を取る人が必要だよね・・・
ということで、ITの地方分権から、ITの中央集権への回帰があったのだろう・・・

と考えています。

じゃあ、いくら使ってるの?

これもかなりびっくりでした。

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100名までの企業においても、
会社全体で2000万円/年で、社員1人あたり60万円程度
100名までの企業では、
2.6億円/年で、社員1人あたり90万円程度

逆に、1000名を超える企業では、
カスタムSaaSや大量購入によるディスカウントがかかり、安くなる傾向にあるといえます。

日本国内では有効なデータがなく、
弊社独自で調査したn=100程度のデータもあるのですが、
これはまた別の機会にご紹介できればと思っています。

これから日本で起きるリスクをアメリカから学ぼう

アメリカは日本よりもSaaSの利用が進んでいるため、日本ではまだ発生していない問題も起きています。

日本はクラウド抵抗国といわれていますが、裏を返せば、先人たちの過ちを未然に回避することが出来るとも言えます。

そこで、日本でも特に発生しそうな問題を5つピックアップしてみました。

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①シャドーITと野良SaaS
シャドーITとは、会社で正式に認められていないITツールの利用をさした言葉です。
各部署が独自に、それこそ好き勝手にSaaSを導入することで、様々なデータが散乱し、セキュリティー的なリスクも増えるという状態です。

実際に会社で使っているSaaSを徹底調査したところ、
平均して、本来利用しているはずのSaaSの数の3倍以上のSaaSが社内で見つかった。
というデータも存在します。

Source:ZYLO State os Enterprise SaaS Management

また、SaaSの請求は各管理者へ直接メールで送られることやクレジットカード決裁であることが多いため、
請求先に登録されている人がすでに退職済みで、全く使っていないのに契約だけ存在しているSaaSを僕は野良SaaSと表現しています。

この野良SaaSに関して行くと、アメリカの100名未満の会社で最低1つ以上が存在するというデータもあるくらいです。

Source:BLISSFULLY SaaS Trends 2020

②SaaS管理者

SaaSに投資している部門は非IT部門が多く、だれがSaaSを管理するのか問題が発生しています。

今回のレポートを出している企業は基本的に、SaaS管理SaaSの企業なのでIT部門へ中央集権を!と言っていますが、僕はポジショントークだと思っているので少し考え方が違います。

非IT部門が自走してITを使いこなせるようになる。
それが一番だと思っています。

IT部門がSaaSを選定するのではなく、各部門でSaaSごとの運用責任者を配置する。また、その規模が大きくなったタイミングで、IT部門ではなく、
SaaSOpsというようなSaaS利活用専任の部隊を設置するのが良いと考えています。
(BetterCloud社はこの方向性を提唱しています)

すると、このような人材が必要と考え、今から社内で育成していく必要があると思っています。

③オフボーディング

現在の日本ではオンボーディングが大切!と叫ばれていますが、アメリカはオフボーディングの重要性が語られています。

社員の退職はもちろんのこと、
統廃合による使用しなくなるSaaSも常に発生します。
そして、SaaSの導入と解約はかなりのスピードで発生し、およそ30%のSaaSが1年で入れ替わっていくというデータもあります。

Source:BLISSFULLY SaaS Trends 2020

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Source:ZYLO State os Enterprise SaaS Management

オンボーディングではなく、オフボーディング。
これを人力ではなく自動化する。

これはきっと日本でも発生するはずですので、今のうちに考えていただけると良いかと思います。

④インテグレーションとビジネスプロセス

ここまでたくさんのSaaSを使うと、様々なSaaSごとの連携だけでなく、それがビジネスプロセスにどの様に寄与しているのかまで把握していく必要が出てきます。

なんとなく良さそうなSaaSでも、ビジネスプロセス的には何もメリットを出さなかったり、他のSaaSと重複している物も出てきます。

また、iPaaSやRPAでつなぐだけではビジネスプロセスまで把握できないため、ここの整理が確実に必要なタイミング出てくると考えています。

⑤ベンダーとの交渉

これは僕が元SaaSの営業だったので、明言します。
ベンダーとの交渉を上手に行うと、ディスカウントを受けることができますし、そのディスカウントの幅も大きく変わってきます。

すこしびっくりするくらいの生々しいデータがあったのでご紹介します。

(生々しいので少しマスキングしました)

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とまぁ、ベンダーとのお付き合いが上手なだけで、下手すれば半額程度に抑えることが出来るって話です。

ベンダーとの交渉、特に営業との交渉は重要ですよ。
(SaaSの営業として、それなりに売っていた自負のある僕も、絶対に重要だと思っています。)

宣伝:このあたりで困ったらご相談を!!

今日書いた内容は弊社及び僕がご協力できる領域でもあるので、周りに相談できる人がいなければお気軽に聞いてもらえればと思います。

弊社プロダクトでご協力できる範囲でもございます。
(本当はもっと広い領域なのですが・・・まだ詳しく言えなくてすみません・・・)

というわけで、

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